
茨城県立勝田中等教育学校は、6年間の一貫教育を通して、グローバル教育と英語教育に力を注いでいます。英語を学ぶだけでなく、探究や協働、海外での体験を通して実際に使う力へとつなげることが特徴です。「TOEFL iBT® Open Possibilities プログラム(通称:TOPプログラム)」のSTAGE3認定を機に、世界標準の英語力を育てる環境をさらに整え、公立校から海外留学や海外大学へ挑戦できる道を広げようとしています。
2021年に開校した茨城県立勝田中等教育学校は、2026年度に1年生から6年生までがそろいました。6年間を通して計画的・継続的な教育活動を展開し、次世代を担うグローカルリーダーを育成する「KATSUTA ビジョン」を教育理念に掲げています。

開校時から重視してきたのが、グローバル教育と英語教育です。下山田芳子校長は、教科で身につける認知能力だけでなく、経験や感情、他者と協働する力といった非認知能力も育てることを重視していると話します。

教科で得た知識を実践の中で活用し、非認知能力の育成へとつなげる。その場となるのが、同校の特色ある教育「未来探究」です。探究プログラムとグローバルプログラムから構成され、グローバルプログラムでは、1年生から3年生までGCP(グローバル・コンピテンス・プログラム)に取り組みます。授業は英語で行われ、英語でのディスカッションやプレゼンテーションを通して、多様性やグローバル・シチズンシップについて考え、異なる意見を持つ人と協働する経験を重ねていきます。
「本校では、教科で学んだことを『未来探究』で応用します。その際、英語はディスカッションや協働に必要な力になります」と下山田校長。英語をアカデミックな知識として身につけるだけで終わらせず、他者とコミュニケーションを図り、課題に向き合うために使うことで、確かな力へと変えていくことを目指しています。
英語を実際に使う機会は、学校生活のさまざまな場面にあります。ネイティブの指導者と日常的に接する環境があり、1年生から英語で進める授業を実施。イマージョン教育では、英語を使って他教科を学ぶ機会も設けています。
他校でALTを務めた経験をもつグラック・アンソニー先生も、「この学校の生徒はとても積極的で、授業はもちろん、授業外の時間でも、英語で話そうとする子がたくさんいます」と、生徒たちの姿を語ります。

その姿は、海外でも変わりません。台湾でのフィールドスタディでは、現地の大学生との交流で英語を選ぶ生徒が多く、大学での挨拶役を募った際には、英語だけでなく中国語で挑戦したいと手を挙げる生徒もいました。
海外からの留学生を受け入れる中では、ある留学生を十分に支えられなかった経験から、生徒たちが自らチューター制度を立ち上げました。1年生から6年生まで30~40人ほどが参加し、留学生のサポートや交流イベントを企画しています。英語科主任の野上泉先生は、「先生も忙しい、留学生も困っている。それをどうしたらいいかという課題解決を、生徒なりにやったのだと思います。探究が生徒の生活の中に入ってきていると感じました」と話します。

日々の学びや挑戦は、自分の将来を考えるきっかけにもなっています。英語科の関根貴則先生は、「英語や国際系の学部ではなく、未来探究などで英語を活用した経験をもとに、自分のやりたいことをさらに上のステージで発展させたいという気持ちがあるのはうれしい」と話します。6年生では探究論文を仕上げ、英語でアブストラクトを作成。6年間の挑戦を重ねながら、自分は大学で何を学びたいのかを考えていきます。

同校では開校以来、TOEFL Primary®、TOEFL Junior®を活用してきました。一方、「TOEFL JuniorやPrimaryを受けてきた子が、iBTを受ける段階になるとハードルが高くなります」と野上先生。海外大学進学や留学をまだ具体的に考えていない生徒にも挑戦を促し、世界標準の英語力を身につけるための指導体制をさらに整えたいという考えから、「TOEFL iBT® Open Possibilities プログラム(通称:TOPプログラム)」のSTAGE3認定を受けました。
今後はTOPプログラムの生徒向け講座や教員研修などを活用し、TOEFLを学び、指導できる環境を整えていきます。さらにイマージョン教育を発展させ、海外大学への進学や留学を視野に入れた生徒が、段階的に世界標準の英語力を身につけられる仕組みづくりも進めていく考えです。
その背景にあるのは、海外へ挑戦する機会を、一部の生徒だけのものにしたくないという思いです。下山田校長は、公立校にはさまざまな家庭環境の生徒が通っているからこそ、学校の中に挑戦できる環境を用意することが重要だと考えています。
近年は学校説明会でも、保護者から「TOEFLの勉強もできますか」と質問されるようになりました。海外で学びたいと考えても、それを支援できる公立校はまだ多くありません。
「公立でも海外留学に行ける学校にしていきたい」と下山田校長。そして、海外大学への進学も含め、世界へ挑戦できる教育環境について、「数少ない公立グローバル校としてそういう道を切り拓くのが我々のミッションだと思っています」と力を込めます。
6年間という時間を生かし、学び、体験し、失敗しながら、自分の可能性を広げていく。その先に世界へ挑戦する道が自然につながっている学校を、公立教育の中につくる。勝田中等教育学校の挑戦は、これからの公立校におけるグローバル教育の一つの可能性を示しています。

2026年10月掲載
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