
1918年に板垣退助(伯爵 内務大臣)と絹子夫人たちを中心に設立された女学校を前身として、港区南麻布に学び舎を構える広尾学園中学校・高等学校。1973年に文部科学省の海外帰国子女教育研究指定校となる。2007年に現校名に改称して共学化。インターナショナルコースを設置。2011年、高校に医進・サイエンスコースを設置し(2015年には中学にも同コースを設置)。現在、本科、医進・サイエンス、インターナショナルの3コースで教育を展開している。
「自律と共生」を教育理念とする広尾学園中学校・高等学校の植松久恵教頭と、海外大学担当部長の尾澤章浩先生に、同校の教育の特色と海外大学への進路指導についてお話を伺いました。
―広尾学園の教育理念のもとで、どのような生徒が育っていますか。
植松先生:本校の教育理念は「自律と共生」です。生徒たちは日々の授業はもちろん、自分の関心に応じて課外活動にも積極的に取り組み、校内で企画を立ち上げたり、校外の社会人と連携してインターンやボランティア活動に挑戦したりと、多様な学びが広がっています。得意分野を活かしながら、チームで協力して活動することで、生徒たちは主体的に成長していきます。
―3つのコースではどのような教育の特色がありますか。
植松先生:本科と医進・サイエンスコースの授業は日本語で行われ、本科は文理を問わず多様な生徒が、医進・サイエンスは理数系志望の生徒が多く在籍しています。インターナショナルコースでは、外国人教員が主要科目の授業を英語で行い、海外志向の生徒が多く集まっています。中学3年間はどのコースも共通カリキュラムで、教科書の内容や進度も揃えており、高校進学時にコースを変更することも可能です。
―インターナショナルコースのクラス構成や学び合いについて教えてください。
植松先生:中学のインターナショナルコースは授業を英語で行うアドバンスグループ(AG)と、基礎から英語力を伸ばすスタンダードグループ(SG)で構成され、1つのクラスでAGとSGの生徒が学び合います。英語力だけでなく、国際的な視野や倫理観を育むことができます。授業の進め方や議論の深まり方も多様で、生徒間の経験共有が学びの相乗効果を生んでいます。
―コース間での交流もありますか。
植松先生:部活動や委員会活動、行事などは全コース共通で行われています。また、医進・サイエンスコースの「Advanced Laboratory in English(All English 実験講座)」では、高校生が他コースの中学生に英語で実験を主導し、知識や理論を伝える取り組みも行っています。

―医進・サイエンスの生徒も英語で授業を行えるほどの力を身につけているのですね。
植松先生:本校では、SGで行っている英語教育を全校に広げています。本科コースや医進・サイエンスコースでも中学生は週3時間の日本人教員の授業と週3時間の外国人教員による授業があり、中1から英語での授業に取り組みます。外国人教員とのスピーキングテストやエッセイ指導も取り入れ、4技能をバランスよく育てています。
―教材や単語学習についても工夫されていますか。
植松先生:リーディングのページの多い教科書を使い、多くの英文に触れています。単語帳には、単語と日々使える例文が掲載され、単語だけを覚えるのではなく、どのように使うのかを理解して覚えていくようにしています。毎週50語程度の英単語を覚え、テストを繰り返すことで、語彙力を着実に高めています。
―生徒が実践的に英語力を試す場はありますか。
植松先生:海外研修は希望者選抜制で、中学3年生の夏に2週間のオーストラリア研修、高校1年生の夏にイギリス研修があります。中学3年生SGコースの希望者にはアメリカやシンガポールの高校との交換留学も用意しています。生徒たちは実際に英語を使うなかで、自分に不足している力を実感して学習意欲が高まり、授業を大切に受けるようになります。アメリカ・ボストンの大学見学ツアーも大きな刺激となり、実際にキャンパスの雰囲気や学生の様子を見ることで、将来像を具体的に描くきっかけになります。

―海外大学への進学希望者に向けて、どのような情報提供の機会がありますか。
植松先生:年間を通じて、何百校もの大学が来校して説明会を開いてくださっています。毎年9月には本校や近隣のインターナショナルスクールの生徒を対象とする「Kanto Plain College Fair」も、本校が会場となっています。140校ほどの海外大学が参加し、生徒たちは1日で直接海外の大学の担当者と話せる貴重な機会となっています。今年3月にはイギリスの大学フェアも実施しました。
―海外進学に向けた指導について教えてください。
植松先生:インターナショナルコースでは、高校生になると週1回1時間のロングホームルームで、海外大学受験準備の具体的な指導を行います。大学での専攻を選ぶにあたって自分の興味や深めたい学問領域を掘り下げることも重視しています。エッセイを書くこと自体は日々のレポート課題などでも慣れているものの、自分について書く際に、自分を客観視することも必要となります。外国人教員との1対1でエッセイ指導を行い、担任は個人面談を通じて、生徒の理解に努めています。
尾澤先生:アメリカの名門大学の合格率は3〜10%という狭き門です。志望理由では、例えば、入学後にどの分野を学び、どの教授の授業を履修したいかを自分と結びつけて書き上げるという精緻な内容が求められます。また、中学3年〜高校3年の活動実績も重視されますので、課外活動の成果や貢献性も評価対象となり、中学3年生以降の積み重ねが重要です。

―保護者の理解や経済的支援についてはいかがですか。
植松先生:生徒が海外大学への進学希望をもっていること尊重してくださっていると思いますが、海外大学への進学には、高額な学費を用意する必要もあります。生徒自身が、海外大学へ進学することの必要性をいかに説明できるかということも必要でしょう。やりたいことがあり、いつか社会を変えてみたい、社会に貢献したいといった強い意志をもった生徒たちの話を聞いていると、それを実現するために海外の大学へ進学することが必要なのであればサポートしようとお考えになるご家庭もありますし、なかには学校と生徒、保護者とで話を進めながら最終的に国内の大学を選ぶというケースもあります。
尾澤先生:海外の大学に進学する際には、日本の奨学金や大学の学費援助制度を理解することも重要です。近年ではアメリカのトップ大学で学費援助をするご家庭の年収制限を上げるなど、状況は刻々と変わっています。生徒が出願をする際に、奨学金や学費援助を出してくださるところを多めにして、複数の中で交渉できるようにしていくような指導もしています。そのため、常に情報をアップデートして、安心して進学できる情報を提供していけるようにしていかなければならないと思っています。
―最後に広尾学園を目指す生徒や保護者に向けてメッセージをお願いします。
尾澤先生:海外進学がすべてではありませんが、海外大学に進学した生徒たちはコンフォートゾーンから出た場で時には大変な思いをしながらも、それを経て成長していますし、結果的によいキャリアにつながっている方も多くいます。卒業生の多くは、国内外で幅広い進路を歩んでいます。海外大学進学後に一度日本で就職してから、海外大学院に進学する人もいますし、外資系企業や起業する卒業生も増えてきました。そのような生徒たちを後押ししていくことの意義を感じています。海外トップ大学の合格率が低い、学費が高いといった情報ばかりが先行しがちですが、トップ大学に限らず、ほかにも教育の質の高い大学や学費も高額ではない大学は世界に数多くあります。奨学金や学費援助といった制度もあります。総合的に情報をつかんでいただき、海外進学を目指してほしいと思っています。
植松先生:大学進学を考えるにあたって、生徒には世界地図全体から進学先を選んでほしいと願っています。学びたいことが日本にあれば国内を、海外にあればそこを目指せばいいのです。自分を一番伸ばせる環境は世界のなかのどこにあるのか。広尾学園の生徒たちはそういったことを中高6年間でよく考えて学んでいます。自分もそんな仲間になりたいと思ったら、ぜひ一度、本校にお越しいただければと思います。

―ありがとうございました。

広尾学園中学校・高等学校
教頭/教諭(英語科)
植松 久恵 先生
教員になることを視野に幅広い視点をもつべく企業に就職。2008年より広尾学園入職。インターナショナルコース統括長を経て、2023年度より現職。海外大学との懸け橋として尽力。

広尾学園中学校・高等学校
海外大学担当部長
尾澤 章浩 先生
米国の新聞社で勤務後、ベネッセコーポレーションで海外トップ大進学塾の塾長を15年務め、現在は広尾学園で海外大学担当部長を務める。「米国トップ大学受験バイブル」著者でメディアでも多数紹介。2024年より現職。
2025年6月掲載
上記は掲載時の情報です。予めご了承ください。最新情報は関連のWebページよりご確認ください。

関西外国語大学は太平洋戦争の終戦から3カ月後の1945年秋に、「これからは世界中の人々が協力し合い、力を合わせて生きていく世の中にしたい」という想いを外国語教育に託し、創立されました。
開学以来「国際人の育成」と「実学教育」の実践を柱に、日本と世界をつないでおり、現在55カ国・地域の395大学と協定を結んでいます。本学は世界というステージで活躍できる人々の育成に取り組んでゆきます。
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