
2026年度より、ETS Japanが展開している「TOEFL iBT® Open Possibilities プログラム(通称:TOPプログラム)」のSTAGE3に公立高校として全国で初めて認定された埼玉県立和光国際高等学校。国際教育を柱として、この4月に県立和光高校との統合により新校として再出発しました。新たな教育のもとで、英語と探究をどのように結びつけようとしているのか。その取り組みを取材しました。
同校は1987年に開校した全国初の公立国際高校として、長年にわたり国際教育を牽引してきました。今年度の統合により新たな学校として再編され、普通科と国際科の2学科体制で構成されています。
佐藤忠好校長は、「英語が話せることだけで国際交流が成立するわけではありません。その前に『自分はどう考えるのか』を持つことが必要です」と話します。こうした考えは、開校以来掲げてきた「Read, See & Think(RST)」の理念にも通じるものです。
そして、「できない理由を探すのではなく、できる理由を探し、それをやり抜く力がこれからは必要です。本から学ぶだけでなく、体験から学び、失敗から学ぶことが大切です。子どもたちには、失敗する権利があります」と述べ、知識の習得にとどまらない学びの重要性を強調しました。

あらかじめ用意された道を進むのではなく、自ら選び、試行錯誤する——そうした過程そのものを学びと捉える姿勢が、同校の教育の根底にあります。
新校のカリキュラムを体現する最初の学年となる1学年主任の市川祥生先生は、「国際感覚を身につけ、国内外で活躍できる人材の育成を目指しています」と語ります。同校における英語の位置づけは、単なる教科としてではなく、思考や表現のためのツールです。「情報を読み解き判断する力と、自分の意見を伝える力。この2つは日本語でも英語でも求められます」と説明する市川先生。

未知の課題に対しても協働しながら解決の糸口を見いだしていく力を育てるため、同学年では探究活動をカリキュラムの中核に据えています。普通科では和光市と連携し、市職員から地域の現状を学びながら課題解決を考える取り組みを実施しています。国際科ではJICAと連携し、国際的な課題について問いを立て、解決策を探る学びが進められています。今後はポスターセッションなどを通して発信する機会も設けていく予定です。
生徒たちの探究の積み重ねは、3年間の学びの成果にもつながります。従来の和光国際高校のカリキュラムでは、2年次以降にGraduation Project(GP)として卒業論文に取り組み、社会的課題について英語で1000ワード以上の文章を作成してきました。現在3年生が取り組んでいる卒論は、そのカリキュラムのもとで培われた成果です。

一方で、今年入学した1年生は入学直後から探究活動に取り組んでいます。3年間を通して思考力と表現力を段階的に育て、最終的な成果へとつなげていく設計です。「3年間の積み重ねの中で問いを深め、その成果として形にしていきます」と市川先生は話します。
こうした学びを支える前提として、外国語科主任の坂本先生は、「英語だけでは成立しない学びです。背景となる知識や思考力があってこそ意味を持ちます」と指摘します。
また、海外研修も重要な学びの機会の一つです。希望者を対象に実施され、事前・事後学習を含めて設計されています。現地での体験を通じて視野を広げ、帰国後の発表へとつなげる中で、生徒の学びは大きく変化していきます。
探究と英語を往還する同校の学びの中で、その延長線上にある取り組みの一つが「TOEFL iBT® Open Possibilities プログラム(通称:TOPプログラム)」です。ETS Japanが展開するこのプログラムのSTAGE3に認定されたことを受けて、同校の学びに新たな視点が加わりました。今回の取り組みは学校全体ではなく、今年度入学の1年生を対象とした試行的な位置づけです。
取材当日には、ETS職員によるTOEFL講座が生徒向けに実施されました。試験の概要や出題形式に触れるだけでなく、英語で学ぶことの意味を具体的に体感する機会となり、生徒にとってはその先の学びを考える契機となっています。

外国語科の鈴木誠先生は、「TOEFLは4技能を測るだけでなく、アカデミックな内容に触れられる点に価値があります。本校が目指している、英語で情報を理解し、自分の考えを発信する力とも重なります」と話します。そして、「事実を問うだけでなく、全体から推測させる問題も多く、しっかり読めていないと答えられません。単なる知識ではなく、思考力や読解力が問われる試験です」と指摘しました。

一方で、TOEFLはあくまで特定の目標ではなく、学びの入口の一つとして位置づけられています。「生徒が自ら挑戦していくきっかけとして提示しています」と話す市川先生。主体はあくまで生徒にあり、学校はその挑戦を支える立場にあります。
その背景には、同校が大切にしてきた学びの姿勢があります。佐藤校長は、「あらかじめ用意された道を進むのではなく、自分で選び、挑戦することが大切です」と語ります。多様な選択肢の中から自ら選び取る経験が、主体性や責任感の育成につながります。
STAGE3認定校としての取り組みは、今年入学した1年生での実践を通じて検証していく段階にあります。今後の展開は未定としながらも、TOEFLを通じて生徒が自らの可能性に気づき、その先の学びへと踏み出していくことが期待されています。

2026年7月掲載
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