
2025年4月に早稲田摂陵高等学校から校名を変更し、新たなスタートを切った早稲田大阪高等学校。早稲田大学との連携をさらに深めながら、生徒が多様な人や価値観、学問に触れ、自らの将来を考える機会を数多く設けています。英語教育においても、実際に英語を使う体験を重視。その延長線上で「TOEFL iBT® Open Possibilities プログラム(通称:TOPプログラム)」のSTAGE3に認定され、TOEFLを活用した新たな取り組みを進めています。
早稲田大阪高等学校は、2009年に早稲田大学の系属校となる早稲田摂陵高等学校としてスタートし、2025年に現在の校名へ変更しました。これに伴い、早稲田大学への推薦枠も39枠から74枠へ拡大。高大連携を一層強めています。
同校には早稲田コース、文理コース、総合コース(総合コース 吹奏楽クラスも含む)があり、全員が大学進学を目指します。なかでも早稲田コースでは、大学進学後の学びまで見据えた文理融合型のカリキュラムを編成。文系の生徒も数学Ⅲを履修するほか、発展的な情報科目である「情報Ⅱ」も学びます。
一方、系属校であることの価値は、進学制度だけにとどまりません。早稲田大学の留学生と交流する「ICCアウトリーチ・プログラム」や、大学教員による授業、大学生の活動に触れる機会、関東研修、特別聴講制度などを通して、高校生のうちから大学の人や学問、文化に触れることができます。

松田和也教頭は、こうした環境について、単に偏差値や数字を追って受験勉強をするのではなく、「3年後、自分がどうなりたいのか」を考えることにつながると話します。早稲田大学への進学を希望する生徒はもちろん、ほかの大学を目指す生徒にとっても、自分が学びたいことや大学を選ぶ視点を見つけるきっかけになっています。
同校のグローバル教育では、英語を学ぶことそのものではなく、実際に使う体験が重視されています。
2026年度には、早稲田大学の留学生と早稲田コースの2年生が、英語で「答えのない問い」について議論する新たなプログラムを実施しました。テーマの選定にも生徒が関わり、英語を使って自分の考えを伝え、相手の意見を受けながら議論を深めていきます。

教育企画部長の木田志緒音先生(外国語科)は、生徒たちが普段の授業とは「全然違う顔」を見せ、わからないなりにも積極的に会話を続けていたと振り返ります。体験を通して英語を使う必要性を感じ、自ら学ぼうとする姿勢を育てることが狙いです。
その機会は校内だけに限りません。全国高校模擬国連をはじめ、英語による国際協働プレゼンテーション大会「World Youth Meeting」などへの参加に加え、サマープログラムではフィリピンとオーストラリアへ。フィリピンではSDGsや貧困をテーマにしたフィールドワーク、オーストラリアでは現地校の授業やバディプログラムなど、それぞれ異なる目的を設定しています。
本校では、海外へ行くことだけを異文化体験とは捉えていません。2025年度に始まった国内でのスプリングプログラムでは、中東をテーマにクウェート大使館や東京ジャーミイを訪問しました。海外へ出ることにハードルを感じる生徒にも異文化に触れる機会を広げ、体験から言語を学ぶ意味に気づく。そのための選択肢が用意されています。
実際に英語を使う経験を重ねることは、TOEFLに向き合う姿勢にもつながっています。早稲田大学では英語力の指標としてTOEFLを重視しており、同校でも早稲田コースを中心に、高大接続を見据えた英語力の育成が進められています。

早稲田コース長の米田謙三先生は、「必要だからTOEFLを取りなさいと言っても、なかなかモチベーションは上がりません」と話します。実際に留学生と交流すれば、大学でさまざまな背景を持つ人と学ぶ自分の姿が見えてきます。そのとき必要になるのは、会話ができるだけではなく、学問に向き合うためのアカデミックな英語です。そうした実感が、TOEFLに挑戦する動機にもなっています。
STAGE3認定校となった同校では、TOPプログラムによるTOEFL講座も実施されています。講座は技能別で1日1技能を学び、4日程にわたり実施されました。取材当日はスピーキング対策に挑戦。木田先生は、生徒が思うように英語で表現できなくても、懸命に伝えようとする姿に手応えを感じたといいます。学校の授業だけでは得にくい機会を外部との連携によって広げることも、STAGE3の取り組みに期待することの一つです。
松田教頭は、AIや国際化が進むこれからの時代について、決められた方法をたどるだけではなく、「自分はどうしたいのか、どうありたいのか」を持つことが重要になると考えています。「3年間で自分がどうしたいか、どうありたいかということを、いろいろな体験に触れ、勉強も含めて見つけてほしい」と語ります。
大学とのつながり、異文化との出会い、英語で考え伝える経験、そしてTOEFLへの挑戦。その一つひとつが、生徒自身がこれからの自分を考える機会へとつながっています。

2026年9月掲載
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