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TOEFL®テスト日本事務局

団体・教育関係者

セミナーレポート

「新年度から使える! TOEFL®テストを使った活気のある教室のつくり方」

TOEFL®テストをいかに授業で活用できるかを紹介し、明日からの授業づくりのヒントに—。2019年3月、教育者を対象としたセミナー「新年度から使える! TOEFL®テストを使った活気のある教室のつくり方〜ペーパーベースTOEFL ITP®テスト LEVEL2の可能性〜」を東京ウィメンズプラザにて開催した。この日の参加者は全国から集まった高等学校や大学の教職員、教育委員会関係者など約30名。実際のテスト問題を使用しながら、教室で実践できるアクティビティなどを体験した。

TOEFL ITP®テストの活用法を紹介し、教育現場をサポートしていくために

CIEE教育者セミナー in 東京

2020年度から始まる大学入学共通テストでは、英語の外部資格・検定試験が活用される。高等学校の学習指導要領においても、英語によるコミュニケーション能力を習得し、高度な言語活動ができる力を養う指導が求められている。学校現場では高校卒業段階で求められる生徒の英語力の指標であるCEFRのA2〜B1に到達させるため、授業を通していかに大学入試で求められる英語力を伸ばすかが課題とされる。

このたびの「教育者セミナー in 東京」は、高校の英語科教員をはじめ、大学の英語科目の担当教員などを対象に、授業におけるTOEFL®テストの活用法を紹介し、アクティビティを実践する手がかりにしてもらうことを目的として開催された。TOEFL®テストは、英語を母語としない人々が、海外の大学での学びに必要な英語コミュニケーション能力を測るために開発されたテストであることから、TOEFL®テストの題材を授業で扱うことで、日本の高校生や大学生に求められる「使える英語力」の習得に役立つことを示すセミナーとして企画されたものだ。

セミナー開催にあたり、当協議会代表は「グローバル社会で国際競争が進むなか、私たちは未来ある若者を育成していかなければなりません。本日ご参加くださった皆さんが、良き見識を深め、生徒のためにいかに指導力を高めていくことができるか。TOEFL®テストを活用して、いかにモチベーションを高め、英語力をバランスよく、より良い結果へ導いていくことができるか。皆さんが抱えていらっしゃる課題に対して、私たちも皆さんと一緒に向き合い、活動していきたいと思います」と挨拶し、CIEE Japanは教員の皆さんや学習者をサポートしていくことをミッションとしていると述べた。

CIEE教育者セミナー in 東京

当協議会語学部門の根本斉ディレクターからは、2つのTOEFL®テストについて、次のように紹介された。「TOEFL®テストには現在、大学入試の外部検定試験として採用されている4技能をコンピュータベースで測定するTOEFL iBT®テストと、かつて公式テストとして利用されていたペーパーベースのTOEFL® PBTテストを再構成し、大学でのプレースメントテストなどにも活用されているTOEFL ITP®テストがあります。TOEFL®テストは大学や大学院で教育研究を行う上で必要な英語力を測定することを目的としています」。また、日本の高校生の英語力のレベルと大学入試で求められる英語力について、TOEFL®テストとCEFRを対照して説明した。

 

LEVEL1とLEVEL2の問題を実際に体験し、生徒や学生が身につけるべき英語力を理解する

CIEE教育者セミナー in 東京

続いて、ETS TOEFL ITP® Teacher Development Workshop Facilitatorである、城西大学語学教育センター助教の鬼頭和也先生が登壇し、「TOEFL ITP®テストの概要と日本の英語教育のこれから」を演題に講演した。鬼頭先生はまず、TOEFL ITP®テストの概要について、「難易度の異なるLEVEL 1とLEVEL 2の2つのレベルがあり、LEVEL 2はいわゆるTOEFL®テストレベルである、LEVEL1(所要115分)に比べ、難易度の高い問題を除き、所要時間を短く構成されたもの」であると紹介。そして、所要時間は大学の90分の授業時間内で実施できる70分であり、費用もさほど高価ではなく、CEFRのA2〜B1までを測定できるため、日本の高校生から大学生に求められる英語力とレベルが合致しており、比較的活用しやすいテストであるとした。そして、「LEVEL2から始めて、LEVEL2ができるようになったらLEVEL1へ引き上げ、さらにLEVEL1に到達できたらTOEFL iBT®テストへとつなぐことができるのが、TOEFL®テストのメリットと言えるでしょう」と述べた。さらに、「ペーパーベースで2技能の試験ながらも、Structure and Written ExpressionやReading and Vocabularyのセクションでは、間接的にWritingやSpeakingのスキルも測ることができます」と言葉を添える。

その後は、実際にサンプル問題を提示しながら、参加者にまずLEVEL1のListening Comprehensionから順番に、Structure and Written Expression、Reading Comprehensionに取り組ませ、難易度を体感してもらった。同様にLEVEL2にも取り組ませると、参加者同士で実際に取り組んでみた感想や、自分が授業で扱うにはどちらのレベルがふさわしいのか、どのように授業で扱えばよいのかなどを話し合ってもらった。

鬼頭先生は講演の終盤で、「先生方には、単に生徒や学生にテスト問題に取り組ませて、そのテストで高い得点を取るためだけのテクニックを教えるのではなく、実際にテストを何らかのアクティビティなどに発展させて、さまざまな場面で活用できる英語力を身につけさせることを意識した授業づくりをしていただきたいと思います。今、社会は劇的に変化を遂げています。今後の日本は、国内だけでなく海外へと市場をさらに広げていかなければなりません。先生方が教えていらっしゃる目の前の生徒・学生たちが今後出て行く社会で、世界を舞台に戦うためには、どのような力が求められるのかを見据えて日頃から授業を実践していく必要があるのです」と、参加者に訴えかけた。

Reading やListeningで活用できるアクティビティを具体的に紹介

山下泰寛先生

セミナーの後半は、「授業内で活かせるTOEFL®テストを使ったアクティビティの進め方」と題して、アクティブラーニング型の授業づくりのヒントとなるべく、鬼頭先生がLEVEL2の問題のセクションごとに、ReadingやListeningで活用できるアクティビティを紹介し、参加者に体験してもらった。

鬼頭先生はまずShadowingの取り組み方について、次のように説明した。「Listeningを強化する目的があるなら、まずはMumbling(もごもごと声に出す程度)でよいので、そこからスタートして、繰り返し取り組みながらレベルを上げていくとよいでしょう。また、Post-Shadowingも効果的です。内容を先に理解してからShadowingに取り組むと、発音や内容理解が早まったり深まったりするとも言われています。初めて聞く内容について聞き取るのは難しいものですが、日本語で理解した知識がすでにあれば、それをベースに英語を聞き取ることができるようになります。Listeningにはトップダウンとボトムアップがあり、英語圏の話者でない場合には、既知の知識を使いながら内容理解へと落とし込んで行くトップダウンになりがちですが、Shadowingは、ボトムアップスキルを伸ばしていくトレーニングになるでしょう」とアドバイスを送った。ほかにも、英語のリズムやイントネーションの強化のためには、ジェスチャーとShadowingを組み合わせたHaptic-Shadowingが有効であるとし、イントネーションの強い箇所でパンチをするように強弱をつけてペアで読み合うアクティビティができることをはじめ、ペアで一方がパッセージを読み、もう一方はまずshadowingを行い、次にサマライズさせるpassage to the shadowingなど、さまざまなShadowingの手法を紹介した。

最後に鬼頭先生は「皆さんにお伝えしたいのは、このようなアクティビティをいかにシラバスのなかに取り入れて実践し、アクティブラーニング型の授業を展開していくかということです。使える英語力の養成のためにもぜひ、TOEFL ITP®テストを活用し、今日ご紹介したアクティビティを参考に、今後の授業づくりに活かしていただけたらと思います」と述べて、講演を締めくくった。

セミナー終了後には、参加者より「TOEFL iBT®テストに達する前にTOEFL ITP®テストを活用できることが分かり勉強になりました。今後ぜひ活用してみたいと思います」「すでにTOEFL ITP®テストを導入していますが、テストの活用の仕方が分かり、今日のセミナーは大変有意義でした。今後も引き続き授業にテストを活かすアイデアや、教員研修の機会をいただきたいです」といった声が聞かれた。当協議会では、今後も教育現場に役立つ情報をご提供し、授業で活用できる実践をご紹介していく。

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